会社のドメインの管理を、ホームページを作った制作会社に任せたままにしている会社に向けた記事です。更新の請求や契約の見直しをきっかけに、ドメインを自社で選んだ管理先へ移したいと考え始めた、従業員20〜100名ほどの会社が前提です。ドメイン移管でかかるのは主に移管先の移管料金で、気を配るべきなのは費用より、ホームページとメールに向けた設定の引き継ぎです。
更新の期限の1か月以上前に始め、いまの設定を新しい管理先に写してから切り替えれば、ホームページもメールも止めずに移せます。この記事では、移管の前に決めることとつまずくところ、自分で進めるか頼むかの境目を説明します。最後に、御社で今日5分ほどでできる確認を示します。
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| この記事の対象 | 従業員20〜100名ほどの会社で、ドメインの管理をホームページの制作会社や前任者に任せていて、自社で選んだ管理先へ移したい会社 |
| 対象外 | ドメインの管理画面に自社で入って管理している会社、ドメインは移さずにホームページだけを作り直したい会社 |
| 結論 | ドメイン移管でかかるのは、主に移管先の移管料金です。移管先によっては、これに1年分の更新が含まれます。大事なのは費用より、ホームページとメールに向けた設定の引き継ぎです。更新の期限の1か月以上前に始め、いまの設定を写してから切り替えれば、止めずに移せます |
ドメイン移管で困るのは費用より、設定が途切れて止まる場面

ドメイン移管で困るのは、費用よりも、ホームページやメールに向けた設定が途切れて、ホームページが見られない、メールが届かない状態になる場面です。ドメインとは、メールアドレスの「@」より後ろや、ホームページのアドレスに入る、会社の名前の部分です。ドメイン移管とは、このドメインを管理する業者(管理先)を変える手続きを指します。
ドメインの設定(DNS)とは、そのドメインのホームページやメールを、どのサーバーに向けるかを書いた情報です。移管は、ホームページやメールを置く場所(サーバー)を変える「移行」とは別の手続きで、置き場所は変わりません。移管そのものでは、ドメインの設定も変わりません。
止まるのは、いまの管理先がドメインの設定も預かっていて、移管でその設定が使えなくなる場合です。御社がこれに当たるかは、いまの管理先に「ドメインの設定もそちらで持っているか」を聞くと分かります。分からないときは、いまの管理先が設定も預かっていると考え、先に設定を写しておくのが安全です。
ドメインの移管を受け付けている米国の大手クラウド事業者も、ヘルプで、移管の依頼を受けると、預かっていた設定をすぐに止める管理先がある、と案内しています。同じヘルプは、移管と設定の写し替えを同時に行うと、ホームページやメールが使えなくなることがあるとしています。設定を新しい管理先に写さないまま切り替えると、取引先から送られたメールが戻り、ホームページも開けなくなります。
弊社で実際にあった対応では、ドメインを別の業者から移管し、ドメインの設定も弊社の管理に移しました。ホームページは制作会社のサーバーに残すため、移す前に、ホームページに向けた設定(Aレコード)を、同じ値のまま新しい管理先に写しました。そのうえで切り替えたため、ホームページもメールも止めずに移管を終えています。
関連記事:中小企業のメール・ドメイン管理、業者任せで大丈夫?失効・不達・漏洩を防ぐ見直しポイント
ドメイン移管の費用の内訳と、始める前に決める4つ

ドメイン移管でかかりうる費用は、次の3つです。中心になるのは、1つ目の移管料金です。
- 移管先に払う移管料金
- 移管で期限が延びない移管先やドメインの種類では、移管の前に、いまの管理先に払う更新料
- 設定の調査や引き継ぎを頼む場合の、作業の費用
移管先によっては、移管料金に1年分の更新が含まれます。たとえばエックスサーバーは、移管すると期限が移管元の期限から1年延び、移管料金のほかに費用はかからないと案内しています。一方、先ほどの米国の大手クラウド事業者は、.jp は移管しても期限が延びない扱いで、期限が近ければ移管の前に更新するよう勧めています。
移管先を比べるときの要は、移管料金と、移管で期限が延びるかどうかの2つです。そのうえで、始める前に次の4つを決めます。
| 決めること | 目安 |
|---|---|
| 移管先と、ドメインの名義 | 名義は会社にする。制作会社の名義なら、名義を変える手続きを移管先に確かめる |
| 移管を始める日 | 更新の期限の1か月以上前 |
| いまの設定を書き出す人と、新しい管理先に写す人 | ホームページ、メール、そのほかのサービスに向けた設定を、すべて書き出して写せる人にする |
| 制作会社に頼むことと、その依頼の日 | 移管のための認証の番号の発行と、移管の制限の解除。始める日に合わせて依頼する |
「1か月以上前」は公式の決まりではなく、次の3つを踏まえた弊社の目安です。
- 移管のための認証の番号(AuthCode)は、作られた翌日から数えて35日で使えなくなる
- 移管を受ける事業者の一例では、申し込みから完了まで1週間〜10日ほどかかり、早めることはできない
- .com などは、期限まで1週間を切ると移管が失敗する
.jp の管理団体のJPRSも、手続きには数日かかる場合があるため、日程に余裕をもつよう案内しています。手続きの流れは、JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」にあります。
設定を移管より先に新しい管理先へ写しておけば、移管中にホームページやメールが止まる危険を減らせるうえ、移管で問題が起きたときの備えにもなります。
ドメイン移管でつまずく3つのところ
移管でつまずくのは、制作会社の対応待ち、設定の写し漏れ、ドメインの種類による手続きの違いの3つです。
1つ目は、制作会社の対応を待つうちに、更新の期限が迫ることです。.co.jp や .jp では、いまの管理先が、認証の番号を発行するときと、移管を最後に承認するときの2回関わります。どちらかで返事が遅れると、その分だけ移管も遅れます。
番号は作られた翌日から数えて35日で使えなくなり、制作会社から受け取るまでの日数もそこに含まれます。35日を過ぎると、いまの管理先への依頼からやり直しになるため、番号を受け取ったらすぐに申し込むのが安全です。
移管の制限がかかっていると、移管の申し込みは受け付けられないため、いまの管理先に制限の解除を頼みます。弊社で実際にあった対応では、更新の期限が近いドメインにこの制限がかかっていて、すぐには移せませんでした。期限までに終わるよう、制限の解除から移管までの段取りを組む必要がありました。制限の仕組みは、JPRS「指定事業者変更ロック」にあります。
2つ目は、いまの設定の一部しか写さないことです。ホームページに向けた設定とメールに向けた設定は、別々に書かれています。片方だけを写すと、ホームページは見られるのにメールが届かない、またはその逆の状態になります。メールの送信やほかのサービスのための設定も、同じ一覧に入っていることがあります。
3つ目は、ドメインの種類で、手続きの日数や名義の扱いが違うことです。.co.jp は、移管先で会社の担当者の情報を新しく登録するため、担当者の名前と連絡先を移管先に伝える必要があります。御社のドメインが .com などの場合は、移管の承認のメールが、ドメインに登録された連絡先のメールアドレスに届き、送り直しはできません。登録された連絡先が制作会社のメールアドレスのままなら、承認のメールは制作会社に届きます。
自分でドメイン移管を進めるか、頼むかの境目

自分で進められるのは、ドメインの管理画面に入れて、いまの設定の一覧を自分で書き出せる場合です。加えて、メールとホームページが同じサーバーにあれば、写す設定も少なくて済みます。
次のどれかに当てはまるときは、頼んだほうが確実です。
- ドメインの管理画面に入れない、または誰が管理しているか分からない
- 制作会社とのやり取りが進まず、認証の番号の発行や制限の解除を頼んでも返事が来ない
- メールとホームページが、別々のところにある、または同じところか分からない
- 更新の期限まで、1か月を切っている
メールとホームページが別々のところにあると、写す設定が増え、写し漏れが起きやすくなります。期限まで日がないときは、いまの管理先で一度更新してから移すかどうかも含めて、段取りを組み直します。
弊社は、いまの設定の調査、制作会社とのやり取りの段取り、移管の手続き、設定の引き継ぎ、移管後の管理まで引き受けます。ホームページは制作会社のサーバーに残したまま、ドメインと設定だけを弊社に移す形でも構いません。ホームページやメールの置き場所も移す場合は、移管とは日を分けて進めます。
関連記事:メールサーバー移行の注意点は切り替え日、新旧で受け取れる期間を作る
「ドメインを誰が管理しているか、はっきり分からない」「制作会社に移管を頼んだが、なかなか進まない」「移したら、ホームページやメールが止まらないか心配」といったご相談を、弊社で受け付けています。サーバーやメール、ドメインの移管と、その後の管理は、弊社にご相談いただけます。
今日できる確認は、ドメインの期限と名義

今日できる確認は、ドメインの更新の請求書か、制作会社からの案内を探し、次の更新の期限と、名義が自社かどうかを見ることです。5分ほどで済みます。.co.jp や .jp の有効期限は、登録した日の1年後の月末です。期限が分かれば、更新の請求が来る前に移管を始められます。
請求書が見つからないときは、JPRS WHOISで、.co.jp などは有効期限を、.jp などは表示しない設定でなければ名義(登録者名)を確かめられます。移管の制限がかかっていれば、「ロック状態」の欄も出ます。ただし、どの業者が管理しているかは表示されないため、管理先は請求書で確かめるか、制作会社に聞くしかありません。見方は、JPRS「JPRS WHOIS検索結果の表示例」にあります。
| 確認の結果 | 次の一手 |
|---|---|
| 期限まで1か月以上あり、名義も自社 | 移管先を選ぶ段階に進めます。移管料金と、期限が延びるかどうかを比べます |
| 期限まで1か月を切っている | 移管の前に更新するかを含めて、段取りからご相談ください |
| 名義が制作会社になっている、または請求書が見つからない | 名義の確認と管理先の特定から、弊社が引き受けます |
ドメイン移管でかかるのは主に移管先の移管料金で、大事なのはホームページとメールに向けた設定の引き継ぎです。期限の1か月以上前に始め、いまの設定を新しい管理先に写してから切り替えれば、ホームページもメールも止めずに移せます。期限と名義が分かれば、いつまでに何を始めるかが決まります。
よくある質問
ドメインを移管すると、メールやホームページは止まりますか?
移管そのものでは止まりません。止まるのは、いまの管理先がドメインの設定も預かっていて、移管でその設定が使えなくなる場合です。その場合も、移管の前に新しい管理先へ設定を写しておけば止まりません。
ドメインの移管とサーバーの移行は、同時に進めたほうがよいですか?
いいえ、日を分けて進めるほうが安全です。ドメインの移管、設定の写し替え、ホームページやメールの置き場所の移行を一度に行うと、止まったときにどこが原因か分からなくなるためです。
無料相談のご案内
弊社はサーバーやメールの移管と、Google Workspaceの導入支援・保守サポートを行っています。御社の業務に合わせてご提案します。
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※オンライン相談にも対応しております。
出典
- JPRS よくある質問「JPドメイン名の各種申請について」
- JPRS ドメイン名の管理指定事業者の変更
- JPRS 指定事業者変更ロック
- JPRS JPRS WHOIS検索結果の表示例
- JPRS JPドメイン名のライフサイクル
- JPRS 種類と対象
- エックスサーバー よくある質問「ドメイン移管の手続きにかかる日数を教えてください。」
- エックスサーバー よくある質問「他社からエックスサーバーへの移管が失敗してしまいます。」
- エックスサーバー よくある質問「移管申請に必要な移管承認メールが到着しません。」
- エックスサーバー よくある質問「ドメイン移管の際に、ネームサーバーなどDNSは変更されますか?」
- エックスサーバー よくある質問「ドメインを移管したいのですが、運用しているwebサイトやメールに影響はありますか?」
- エックスサーバー よくある質問「ドメイン移管の際に、ドメインの利用期限はどうなりますか?」
- エックスサーバー よくある質問「移管料金の他に費用はかかりますか?」
- Amazon Web Services ドメイン登録の Amazon Route 53 への移管
- Amazon Web Services ドメイン移管の移管前チェックリスト
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